春に父を亡くした時、iPhoneから流れるドビュッシーのピアノ曲を一晩中聴いていた。
静かに安置された父、それから3人の兄と私。
電話で娘がおじいさんの最期に逢えなかったことを悔しがるので、
「きっと、ちーちゃんの事はわかっているから大丈夫」と慰め
いくつものお経を唱えられる父なのに、自分の時はお経がなくて可哀想だから
ドビュッシー聴かせてると話した。
すると「えっ、月の光?お母さん空見た?」という。
カーテンを開けると、窓からは青く大きな満月……
そうか、スパームーンだったのか。離れていても月の光はおんなじか。
8人看取った父が、自分は「月の光」で送られるなんて。
かぐや姫のようで、笑った。
でもそれも、なんとなく飄々としていた父らしい気がした。
「月の光」からはじまりドビュッシーをエンドレスで…見送った。

 

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